世界遺産白神山地

白神山地は、標高100メートルから1,200メートルの山々が連なる、青森県と秋田県に広がる山地帯の総称で、広さは約13万haです。
ブナを主とする天然生広葉樹林が多く、ブナやアオモリマンテマやツガルミセバヤ、ニホンカモシカやニホンツキノワグマ、クマゲラ、イヌワシなど、学術的にも貴重な動植物が生息し、極めて価値の高い自然生態系が今日まで保たれています。
このうち、人為の影響をほとんど受けていない世界最大級の原生的なブナ林16,971haが、1993年12月、コロンビアのカルタヘナで開催された第17回世界遺産委員会において、屋久島とともに日本初の世界自然遺産に登録されました。
登録区域別面積は、青森県鰺ヶ沢町、深浦町、西目屋村、秋田県藤里町の4町村で、鰺ヶ沢町が最も広く4,650haです。
「くろくまの滝」や「白神の森遊山道」、「赤石渓流」も、白神山地の一部であり、気軽にトレッキングが楽しめる場所として、人気があります。


登録区域別面積
町村名 面積(ha) 占有率(%)
鰺ヶ沢町 4,650 27.4
深浦町 4,119 24.3
西目屋村 3,858 22.7
藤里町(秋田県) 4,344 25.6
16,971 100.0

世界遺産登録までのあゆみ
1972年11月16日 世界遺産条約(正式名称「世界の文化遺産及び自然遺産の保護に関する条約」)が、フランスのパリで開催された第17回ユネスコ総会で採択される
1990年3月29日 林野庁が白神山地に森林生態系保護地域を設定
1992年
6月18・19日
衆参両議院において、世界遺産条約の締結を承認
1992年6月26日 世界遺産条約の批准を閣議決定
1992年7月10日 環境庁が白神山地を自然環境保全地域に指定
1992年9月4日 文化庁、環境庁、林野庁の3庁が世界遺産(自然遺産)の候補地に「白神山地、屋久島を選定したい」と発表
1992年10月1日 政府は、白神山地と屋久島を、我が国の自然遺産の第1候補地としてユネスコに申請
1993年12月9日 コロンビアのカルタヘナで開催された第17回世界遺産委員会総会において、屋久島とともに白神山地の世界遺産登録が正式決定
世界遺産登録地域 世界遺産登録地域
白神の森遊山道


赤石渓流

赤石渓流

白神山地を源流とする赤石川には、アユ・サケ・イワナ・サクラマスなど多くの川魚が生息しています。特にアユは金アユとして全国的に有名で、7月1日の解禁日になると多くの釣り客で賑わいます。
川沿いは、新緑、紅葉も楽しめます。
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くろくまの滝

赤石川の支流滝ノ沢にあるくろくまの滝は、落差85m、幅15mで、県内最大級の滝。日本の滝百選に数えられています。観音様が合掌しているようにも見えることから、古くから信仰の場とされてきました。
大小12の滝があり、くろくまの滝(第1の滝)のほか、第2の滝、第3の滝を見ることができます。
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白神の森遊山道

白神の森遊山道

世界自然遺産登録地域とほぼ同じ森林景観を保つ、散策エリア。藩政時代の田山で、田圃の水を確保するため、禁伐林として地元の人々に守られてきました。広さ約52haのエリアは、山野草や樹齢200年を越えるブナも見受けられ、遊歩道が整備されており、気軽に散策ができます。
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北限の天然杉

北限の天然杉

樹齢約250年の杉を筆頭に天然更新がなされている北限の杉生育地で、「矢倉山スギ遺伝資源保存林」に指定されています。ブナ林のなかに忽然とあらわれる杉の巨木は見る物を圧倒します。
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奥赤石ブナ遺伝資源保存林

赤石川の中流に位置し、世界遺産地域内の良好なブナ林とほぼ同等の林を形成していいます。整備された歩道ではなく腐葉土の上を歩くときのふわふわ感が何とも言えません。比較的楽に散策できます。

津軽森

津軽森

約30分ブナ林の中をぬけると、世界遺産地域が一望できます。
山頂にたどり着いたときの爽快感と開放感は他では味わうことのできないすばらしさです。

然ケ岳

然ケ岳

白神山地固有の植物「アオモリマンテマ」が初めて発見された場所。その昔この地を治めていた大浦光信公の隠し道を利用して山頂へ。熊が多く出没するので、ガイド無しの登山は危険。

天狗岳

天狗岳

登山道の途中から世界遺産地域の中に足を踏み入れます。山頂からは眼下に赤石川や追良瀬川、目前に向白神岳を見ることができます。
途中、馬の背道、急な上りがあり危険度が高いので、登山経験者以外にはお薦めできません。

ハロー白神

ハロー白神

白神山地に生息する動物の剥製や四季の写真パネル、マタギ文化など紹介。自然学習の場として利用できます。
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4月20日から白神の森がオープン、5月末には白神ライン、赤石渓流線が開通予定です。いよいよ白神山地の春がやってきました。
この時期の白神山地の林床部分には沢山の植物が花を咲かせています。
特に4月~5月上旬にかけては「スプリングエフェメラル(春の儚いもの)」と呼ばれており、キクザキイチゲやカタクリといった華やかな色彩をもつ植物が花を咲かせています。
トチノキ・シウリザクラ・サンカヨウ・フタリシズカ

この時期はまだ樹木に葉が生い茂っていないことから、林床部分にも日光が十分届いているため、雪解け直後にすぐ芽を出し、花をつけ、樹木に葉が茂る頃には栄養を蓄えて休眠します。
相撲取りのことを指す川柳に「一年を二十日で暮らすいい男」というものありますが、スプリングエフェメラルに該当する植物は植物界のいい男といったところでしょうか。
一年中働かないと食べていけない身にとってはうらやましいかぎりです。

マイヅルソウ・ホオノキ・ユキザサ・雪割りカタクリ

樹木に葉が生い茂ってくる5月中旬~6月になると、今度はマイヅルソウ、ユキザサ、フタリシズカ、サンカヨウといった白い花を持つ植物が林床を覆い、頭上にはシウリザクラやトチノキ、ホオノキなどの樹木も花を咲かせています。
これまでに挙げた草木は白神にある植物のほんの一部です。
実際に足を運べばもっと沢山の花々に会うことができます。
ガイドと一緒に散策するとさらに多くの花々に出会えます。ぜひ白神の春に会いに来てください。